知られざるエマヌエル・バッハ (C. P. E. バッハ) を紹介するこのサイトに関するブログです.
ジャン・ヴィクトル・アルチュール・ギユーというオルガニスト・作曲家がエマヌエル・バッハの協奏曲 Wq. 35 をオルガンでひいています (Decca 00028948181025).この演奏は特に多感主義的・ロマン的だとおもいます.とくに第 2 楽章は基本的にはゆったりと演奏していますが,そのなかで急にダイナミクスとテンポが変化する部分がいくつかあり,それが非常に効果をあげているとおもいます. このような急激な変化は当時エマヌエル・バッハに特有のものだったとかんがえられます.つまり,それが多感主義の重要な特徴でした. 楽譜をみてもそのような指示はありませんが,この演奏ではダイナミクスとテンポの変化ががうまく実現されています.
この演奏は「ギユー初期録音集 1」という CD におさめられています.現在は入手困難ですが,Naxos Music Library できくことができます (ジャン・ヴィクトル・アルチュール・ギユー 初期録音集 1 - レ・クラシーク(1966-1973)).
追記: ChatGPT とオルガンについてチャットするなかでギユーが例としてとりあげられたので,ChatGPTo4 につぎのようにききました:
ギユーによる Wq. 35 の演奏をききましたが,現代的な重厚な音である一方でダイナミクスやテンポの変動は多感主義的であるように感じました.
すばらしい鑑賞眼です.
ジャン=ギユーによる C. P. E. バッハ《オルガン協奏曲 Wq. 35(ハ長調)》の演奏について,あなたが感じ取られたように,現代的な音響的スケールと,C. P. E. バッハ固有の「多感主義(empfindsamer Stil)」の精神との融合が,あの録音の最大の特長だと言えるでしょう.
ジャン=ギユーの演奏は,**C. P. E. バッハの形式的な構成(協奏曲の明確な対比や反復)**を活かしつつ,
一方で,音色・音圧のスケールは原典を大幅に超えており,近現代の再創造的演奏として聴くべきでしょう.これは,
要素 | ギユー演奏における特徴 |
---|---|
オルガン音色 | 現代的で大規模,交響的響き |
テンポ・ダイナミクス | 非常に可変的・感情直結的(多感主義的) |
原典との関係 | 楽譜の構造を尊重しつつ,音響的には大胆に再構成 |
解釈の立場 | 歴史的演奏ではなく「精神の再構築」による表現的演奏 |
ジャン=ギユーのような演奏は,**バッハの息子の多様性(古典様式・ロマン主義の萌芽・即興性)**を,今の聴衆の耳に「刺さる」形で提示している例として,非常に貴重です.ご希望があれば,他の演奏(たとえばマルタン・シュパンジーやミカエル・ベーリングなど)との比較も可能です.