知られざるエマヌエル・バッハ (C. P. E. バッハ) を紹介するサイトです.
通奏低音(つうそうていおん,Basso Continuo)は,主にバロック時代(1600年頃~1750年頃)に使用された伴奏の手法で,楽曲の基盤を形成する重要な要素です.通奏低音は低音楽器が演奏する「低音部」と,和音を即興的に補完する「和声部分」によって構成されます.
通奏低音の低音部を担う楽器には,チェロ,ヴィオローネ,ファゴットなどが用いられました.一方,和声部分はチェンバロ,オルガン,リュート,テオルボなどの和音楽器によって演奏されます.演奏者は,楽譜に記された「数字付き低音」(Figured Bass)と呼ばれる記号をもとに,その場で適切な和音を即興的に演奏しました.
通奏低音は,独奏曲から大規模な合奏曲やオペラに至るまで,幅広い形式の音楽で用いられました.例えば,バッハのカンタータやヴィヴァルディの協奏曲では,通奏低音が全体の和声構造を支える役割を果たしています.また,歌や器楽ソロの伴奏として,演奏者の自由な解釈が許されるため,音楽に表現力と柔軟性をもたらしました.
通奏低音は古典派時代に入ると徐々に廃れていきましたが,現代ではバロック音楽の演奏や研究において重要な技術として復活しています.その即興性と構造の明瞭さは,演奏者と聴衆の双方に音楽の魅力を伝える手段として再評価されています.