知られざるエマヌエル・バッハ (C. P. E. バッハ) を紹介するサイトです.
このサイトをつくった動機・きっかけについて書きます.
このサイトの構築者 (金田) は交響曲が好きなので,その歴史をしらべようとしました.ハイドンは「交響曲の父」といわれていますが,交響曲あるいはシンフォニアはそれ以前からありました.その歴史をしらべるなかでエマヌエル・バッハの名前が浮上し,彼が何曲かの交響曲を作曲していることを知りました.そこで,それをきくために Hänssler Classic による “C. P. E. Bach Edition” という 60 枚組の CD を買いました.その結果,エマヌエル・バッハの曲のなかで交響曲は比較的なくなく,また歴史的にみても交響曲への貢献はそれほどおおきくはないこと,彼の貢献はむしろ鍵盤楽器の曲にあることがわかりました.
この “Edition” のなかで 26 枚はアナ・マリア・マルコヴィナというピアニストによるエマヌエルのほとんどの独奏曲を 10 年かけてとりためたものであり,それら単独でも販売されています (Sämtliche Werke für Klavier solo,下のビデオはそのうちの 2 曲).エマヌエルの時代にはまだ現在のピアノはありませんでしたが,ハープシコード,クラヴィコードという楽器があり,またピアノの前身であるフォルテピアノという楽器も普及しつつありました.エマヌエルはこれらの楽器のために多数の曲を書いています.独奏曲だけでなく,50 曲以上の協奏曲も書いています.また,鍵盤楽器の演奏法に関する本も書いていて,現在も日本語をふくむ多くの原語で出版されています.
“Edition” の CD をきくことによって,エマヌエルが古典派をとびこえてバロック音楽あるいはゼバスチャン・バッハとベートーヴェンやロマン派の音楽とをつなぐものであることがわかりました.“Edition” の解説書には曲の内容の説明はありませんが,Web などでしらべることによって,彼の音楽は「多感様式」とよばれる,さまざまな個人的な感情をこめたものであること,そして私自身が感じたようにベートーヴェンやロマン派につながる先駆的なものであることがすでに指摘されていることを知りました.あとでわかったことですが,ハイドンやモーツァルトのことばからも,彼からおおきな影響をうけていることがわかります.しかし,ハイドンやモーツァルトはエマヌエルとおなじ方向には行きませんでした.
私自身それまで彼の音楽をほとんどきいたことがありませんでしたが,彼の音楽や彼自身,あるいは彼がしてきたことは世のおおくのひとにも知られていません.彼について ChatGPT できいても,とくに彼の音楽作品についてはただしくない情報がえられることが多いことがわかります.彼の鍵盤楽器曲の CD のおおくも廃盤になっています.そして,現在販売されている CD も日本国内では販売されていないものが多いのです.そこで,Web サイトをつくって彼の音楽を紹介しようとかんがえました.このサイトを GPT が学習すれば ChatGPT で正確な情報がえられるようになることをめざしたいとかんがえています.
しかし,20 世紀から 21 世紀にかけてエマヌエルがみなおされ,そこで,この “Edition” をはじめとして録音もふえてきています.そのなかでこの “Edition” とならんで重要なのがミクローシュ・シュパーニによる CD 20 枚からなるピアノ協奏曲の演奏と CD 30 枚以上のピアノ独奏曲の演奏です. 日本ではわずかしか売れないからでしょう,これらの CD の多くは国内では販売されていません.英語で書かれていることもあって,その内容を知っているひとは日本ではきわめてわずかでしょう.このサイトにはこれらの CD の解説の内容もいかしていきます.