知られざるエマヌエル・バッハ (C. P. E. バッハ) を紹介するサイトです.
このサイトでは 18 世紀の音楽を革新し,「多感様式」によって古典派・ロマン派音楽の先駆けとなった独創的な作曲家 カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ の音楽,生涯,業績を多角的に紹介します.彼の父であるゼバスチャン・バッハ (大バッハ) や兄弟,彼が影響をうけた作曲家や影響をあたえた作曲家のあいだでどのように作曲技法などが発展していくかをたどることも目的のひとつです.
18 世紀は現代のピアノの前身である様々な鍵盤楽器が競って開発され演奏された時代です.ベートーヴェンもピアノ音楽の作曲家であり名手であり楽器の発展に貢献したひとりですが,それより半世紀前にクラヴィコード,ハープシコード,ピアノなどの鍵盤楽器のための音楽の作曲,演奏,啓蒙におおきな貢献をした作曲家がいました.それがヨハン・ゼバスチャン・バッハの 2 番めの息子のカール・フィリップ・エマヌエル・バッハです (頭文字をつけて C.P.E. バッハとよばれることが多いのですが,ここではエマヌエル・バッハとよびます).彼の鍵盤楽器演奏に関する本はずっとバイブル的存在でありつづけ,現在も日本語でも出版されています.
彼の音楽スタイルは「多感様式」とよばれています.繊細なニュアンスや大胆な転調,そして深い感情の表現が特徴であり,ロマン派の音楽を先取りしています.彼の音楽は古典派の作曲家にも強い影響をあたえていますが,それらを超えてベートーヴェンやロマン派の音楽にさきがけた,しかもロマン派にもうけつがれなかった部分がある独自の音楽を作曲した孤高の作曲家だといえるとおもいます.
エマヌエル・バッハは父親のゼバスチャン・バッハから多くをまなびましたが,ヴィヴァルディ,ドメニコ・スカルラッティをはじめ,後期バロックのさまざまな作曲家の音楽からまなんでいます.そして,彼の曲とくに鍵盤楽器独奏曲の楽譜は作曲をはじめた時期のハイドンをはじめ,モーツァルト,ベートーヴェンなどに強い影響をあたえています (下記のビデオは協奏曲と独奏曲の例です).19 世紀以降,彼の音楽は演奏される機会が減ってしまいましたが,20 世紀後半から見直されてきています.
このサイトでは,エマヌエル・バッハの音楽作品をひとつひとつ解説するとともにその演奏のビデオなどを紹介し,彼の独特な作曲スタイルや革新性を深掘りします.また,彼が学んだ作曲家たちや彼から影響を受けた音楽家たちについても紹介し,彼の音楽が広がった軌跡を追います.さらに,彼の音楽に使用された楽器や音楽様式,その背景となる文化についても詳しく解説します.演奏のビデオでは同じ曲のことなる楽器 (クラヴィコード,ピアノなど) による演奏が比較できます.
このサイトはそういう,知られざるエマヌエル・バッハを紹介するとともに,彼の音楽を聴く際に参考になる知識を集積することを目的としています.サイト構築にあたっては ChatGPT を駆使していますが,エマヌエル・バッハの情報はまだ Web 上ではかぎられているため,ChatGPT がこたえる情報もかならずしも正確ではありません.Web 上に信頼できる情報源をつくることもひとつの目的です.(ただし現在は ChatGPT 程度の信頼性です.)