知られざるエマヌエル・バッハ (C. P. E. バッハ) を紹介するサイトです.
フォルテピアノ (Fortepiano) は,18 世紀後半から 19 世紀初頭にかけて使用された鍵盤楽器で,現在のピアノの前身にあたります.「フォルテ」(強い) と「ピアノ」(弱い) の名前が示すように,音の強弱を表現できる点が大きな特徴です.その音色と構造は現代のピアノとは異なり,古典派音楽の演奏に特化した楽器として高い評価を受けています.
構造と仕組み
1.打弦機構
フォルテピアノでは,鍵を押すとハンマーが弦を叩いて音を出します.この機構により,打鍵の強さに応じて音量や音色を変化させることが可能です.
2.音色と音量
フォルテピアノは軽やかで透明感のある音色が特徴で,音量は現代のピアノに比べて小さめです.これにより,古典派の繊細な表現が際立ちます.
3.ペダルの種類
ダンパー操作のために足踏み式ではなく,膝で操作する「膝ペダル」が一般的に使用されました.これにより音を持続させたり,共鳴効果を生み出すことができます.
歴史的背景
1.18 世紀初頭の発明
1700 年頃,イタリアの楽器製作者バルトロメオ・クリストフォリがフォルテピアノの原型を発明しました.[注記: それ以前にもハンマーをもつ鍵盤楽器があったという報告もあります.]
2.18 世紀後半の普及
ハイドン,モーツァルト,ベートーヴェンなどの古典派作曲家が愛用しました.特に,彼らのピアノソナタや協奏曲は,フォルテピアノの特性を活かして作曲されています.
3.19 世紀以降の進化
19 世紀になると,フォルテピアノは構造が改良されて音量が増し,現代のピアノに近づいていきました.鉄骨フレームやクロスストリングが導入されることで,フォルテピアノは主流から外れていきます.
現代のフォルテピアノ
フォルテピアノは,古楽演奏の分野で重要な楽器として再評価されています.特に歴史的演奏法を追求する音楽家によって,モーツァルトやベートーヴェンの音楽を当時の音色で再現する試みが行われています.
意義と魅力
フォルテピアノは,古典派音楽のニュアンスを忠実に表現できる楽器として特別な価値を持ちます.その繊細な音色とダイナミクスの豊かさは,現代のピアノでは得られない特別な魅力を提供します.音楽史において,フォルテピアノは鍵盤楽器の進化の重要な段階を象徴する存在です.
ミクローシュ・シュパーニの CD (BIS-CD-914) の記述を要約すると (ChatGPT4o 訳)18世紀のピアノは多様性に富み,クリストフォリの発明以外にも複数のルーツがありました.パンタレオン・ヘーベンシュトライトが1697年頃に開発した「パンタロン」は,ガット弦と金属弦を使い分け,ダンパーがないことで自由な響きを特徴としました.この楽器は初期ピアノの発展に影響を与え,キーボードとハンマーアクションを備えた新しい鍵盤楽器が生まれました.初期ピアノには,モデレーターやリュートストップといった装置が搭載され,多彩な音色調整が可能でした.18世紀のピアノ演奏では,ダンパーを開いたまま演奏することが一般的で,音に力強さと輝きを与えていました.