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ハイドンによるソナタ形式の完成
知られざるエマヌエル・バッハ (C. P. E. バッハ) を紹介するサイトです.
ハイドンによるソナタ形式の完成
Wikipedia の「History of sonata form」という項目にはつぎのように書かれています (ChatGPT4o 訳).
ハイドンとモーツァルトの実践は,ソナタ形式の記述の基礎を形成します.彼らの作品は形式の模範であると同時に,ソナタ形式そのものを考案するための新しい作品の源でもありました.ソナタ形式についての議論は,ハイドンとモーツァルトの実践を広範に参照しています.
ジョセフ・ハイドンは「交響曲の父」および「弦楽四重奏の父」として知られていますが,作品構成の手段としてのソナタ形式の父とも見なすことができます.彼の弦楽四重奏曲や交響曲は,形式の適用範囲を示すだけでなく,その劇的な可能性を活用する方法も示しています.ハイドンは,展開部への移行や再現部への移行を,最高の緊張と劇的な興味の瞬間として作り出しました.また,作品の和声のあらゆる側面を主要テーマに内包させることで,より広がりのある作品の輪郭を可能にしました.これは,フーガの多声音楽に対応する単旋律のアナログを生み出すという,小さな革新ではありません.それは作曲者が後に多様な効果を生み出すための潜在的な種を提供しました.ハイドンの劇的な効果の多様性と緊張を生み出す能力は,同時代の人々によって注目され,彼の音楽は他の実践を評価する基準としてますます認識されました.
ハイドンの弦楽四重奏曲集《作品33》は,ソナタ形式の特徴的な活用の最初の例を示しています.作曲者自身が,それらが完全に新しい原則に基づいて書かれ,彼の技法の転換点を示すと述べています.
ChatGPT4o にききました: 「ハイドンが完成されたソナタ形式をはじめて使用したのはいつ,どのような曲においてでしょうか?」
ハイドンが完成されたソナタ形式を初めて使用した作品としてよく言及されるのは,1781年に発表された弦楽四重奏曲 Op. 33 です.この作品集は,ソナタ形式が明確に使用されており,提示部,展開部,再現部の三部構成がはっきりしています.この形式は,後に多くの作曲家によって採用され,古典派音楽の標準的な構造となりました.
ハイドンのピアノソナタもソナタ形式の発展に重要な役割を果たしました.特に,ピアノソナタ第6番 ハ長調 Hob. XVI:6 などは,初期の例としてソナタ形式の構造を持っており,提示部,展開部,再現部が明確に分かれています.
ハイドンはこれらの作品を通じて,ソナタ形式の構造を確立し,その後の音楽史に大きな影響を与えました.この形式は,モーツァルトやベートーヴェンによってさらに発展され,クラシック音楽の重要な要素として定着しました.
ChatGPT4o にききました: 「ハイドンが完成されたソナタ形式をはじめて交響曲に使用したのはいつ,どの曲からでしょうか?」
ハイドンが完成されたソナタ形式を交響曲に初めて使用したのは,一般的に1760年代から1770年代の中期にかけての交響曲で見られます.具体的には,交響曲第44番ホ短調「悲しみ」(Trauer)や交響曲第45番嬰ヘ短調「告別」(Farewell)などがその例として挙げられます.これらの作品では,提示部,展開部,再現部からなる明確なソナタ形式が使用されています.
特に交響曲第44番ホ短調「悲しみ」(1768)では,ソナタ形式が確立された形で使用されており,構造的な明確さとテーマの対比が特徴です.第1楽章の提示部で主題が提示され,展開部でその素材が発展され,再現部で元の主題が再現されるという典型的なソナタ形式の構造が見られます.
また,1781年の弦楽四重奏曲Op. 33も,ソナタ形式が完成された形で使用されていることから,ハイドンの成熟したソナタ形式の例としてよく引用されます.
これらの作品は,後のモーツァルトやベートーヴェンにも大きな影響を与え,古典派音楽の標準的な構造としてのソナタ形式の確立に寄与しました.
ChatGPT4o にききました: 「ということは,弦楽四重奏曲 Op. 33 よりまえに交響曲でソナタ形式を使ったということでしょうか?」
はい,ハイドンは弦楽四重奏曲 Op. 33 よりも前に交響曲でソナタ形式を使用しています.以下に,ソナタ形式を使用した初期の交響曲をいくつか紹介します.
交響曲第44番ホ短調「悲しみ」 (1768年)
- この交響曲はソナタ形式の典型的な例として挙げられます.第1楽章は,提示部,展開部,再現部から構成され,各部分が明確に区別されています.特に,この作品は感情的な深みと構造的な明確さが特徴です.
交響曲第45番嬰ヘ短調「告別」 (1772年)
- この作品もソナタ形式を使用しており,構造が非常に洗練されています.特に第1楽章では,テーマの対比と展開が効果的に行われています.
交響曲第31番ニ長調「ホルン信号」 (1765年)
- これもソナタ形式の早期の使用例として知られています.この交響曲では,第1楽章がソナタ形式で書かれており,提示部,展開部,再現部が明確に構成されています.
交響曲第6番ニ長調「朝」 (1761年)
- 交響曲第6番も初期のソナタ形式の使用例であり,ハイドンの初期の試みの一つです.この作品では,ソナタ形式の基本的な構造が見られます.
これらの例からわかるように,ハイドンは1770年代の中期から後期にかけて,ソナタ形式を交響曲に取り入れ始めました.弦楽四重奏曲 Op. 33 は1781年に発表されたものであり,それ以前にもハイドンはソナタ形式を実験的に使用していました.この形式の確立と発展は,ハイドンの作品を通じて徐々に行われ,最終的には古典派音楽の標準的な形式として確立されました.
ChatGPT4o にききました: 「それなのに,どうして「ハイドンが完成されたソナタ形式を初めて使用した作品としてよく言及されるのは,1781年に発表された弦楽四重奏曲 Op. 33」なのでしょうか?」
ハイドンが弦楽四重奏曲 Op. 33(1781年)で完成されたソナタ形式を初めて使用したとよく言及される理由はいくつかあります.このセットは,ハイドンの作曲技法が成熟し,ソナタ形式の構造が洗練されたものであると評価されています.以下にその理由を説明します.
理由
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技術的成熟:
- ハイドンの弦楽四重奏曲 Op. 33は,彼の作曲技法が成熟した時期の作品であり,提示部,展開部,再現部の三部構成が明確で,テーマの対比と発展が巧みに行われています.これにより,ソナタ形式がより洗練された形で表現されています.
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ユーモアと革新:
- Op. 33の四重奏曲には「ロシア四重奏曲」という別名もあり,その中でハイドンは新しいアイデアやユーモラスな要素を導入しています.例えば,第2四重奏曲の第4楽章には「ジョーク」と呼ばれる部分があり,予期せぬ休止や変調が含まれています.
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形式の明確化:
- ハイドンはOp. 33で,ソナタ形式をさらに明確にし,その構造を標準化しました.これにより,後の作曲家たちにとってのモデルとなりました.特に,提示部の二つのテーマの対比や,展開部でのテーマの発展,再現部でのテーマの再登場などが明確に示されています.
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影響力:
- Op. 33は,ハイドンの同時代の作曲家や後世の作曲家に大きな影響を与えました.特に,モーツァルトはこれらの四重奏曲に感銘を受け,自身の弦楽四重奏曲「ハイドン・セット」を作曲する際に参考にしました.
まとめ
ハイドンは弦楽四重奏曲 Op. 33以前にもソナタ形式を使用していましたが,Op. 33はその技法が成熟し,洗練された形でソナタ形式が表現されているため,完成されたソナタ形式を初めて使用した作品としてよく言及されます.これは,ハイドンの作曲技法の進化と,彼が古典派音楽の形式を確立する上で果たした役割を反映しています.
ChatGPT4o にききました: 「交響曲第6番ではまだソナタ形式には足りない部分があったのでしょうか?」
交響曲第6番「朝」(Le Matin)は,1761年に作曲され,ハイドンの初期の作品の一つです.この交響曲はソナタ形式の発展段階にあり,後の成熟したソナタ形式とはいくつかの点で異なります.以下に,その理由と特徴を説明します.
不足している点
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明確な三部構成の欠如:
- 交響曲第6番では,提示部,展開部,再現部の三部構成がまだ完全には確立されていません.各部分の区別がはっきりしていないため,後の作品に見られるような明確な構造が不足しています.
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展開部の短さ:
- 初期のソナタ形式の特徴として,展開部が短く,テーマの発展や変形が少ないことが挙げられます.交響曲第6番では,展開部が比較的短く,主題の展開が限定的です.
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テーマの対比の不足:
- ソナタ形式の重要な要素である主題Aと主題Bの明確な対比が,交響曲第6番ではまだ完全には発展していません.主題の対比がはっきりしていないため,形式が曖昧になっています.
交響曲第6番の特徴
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バロック的要素の残存:
- 交響曲第6番には,バロック音楽の影響が残っており,バロック的な対位法や装飾音が多く使用されています.これにより,古典派のソナタ形式とは異なる印象を与えます.
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プログラム的要素:
- この交響曲は「朝」をテーマにしており,プログラム的要素が強調されています.自然の描写や特定の場面を音楽で表現することに重点が置かれているため,形式的な構造が二次的なものとなっています.
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多楽章形式の探索:
- ハイドンはこの時期,多楽章形式を探索しており,交響曲第6番もその一環として位置づけられます.各楽章の役割や相互関係がまだ確立されていないため,ソナタ形式の完成度には達していません.
まとめ
交響曲第6番「朝」は,ハイドンの初期の作品であり,ソナタ形式の発展段階にあることがわかります.明確な三部構成やテーマの対比が不足しているため,後の成熟したソナタ形式とは異なります.しかし,この交響曲はハイドンがソナタ形式を模索し,発展させる過程で重要な役割を果たしました.
ChatGPT4o にききました: 「クリスチャン・バッハが使用したソナタ形式とは,どのようなものだったのでしょうか?」
ヨハン・クリスチャン・バッハ(J.C.バッハ)は,18世紀後半のギャラント様式に基づくソナタ形式を使用しました.彼のソナタ形式は,その後のハイドンやモーツァルトに影響を与え,クラシック音楽の標準的な形式の基礎を築きました.以下に,J.C.バッハが使用したソナタ形式の特徴を説明します.
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提示部 (Exposition):
- 第一主題 (Primary Theme):提示部の冒頭にトニック(主調)で提示されます.簡潔で魅力的な旋律が特徴です.
- 橋渡し (Bridge):第一主題から第二主題に移る際に使われ,通常ドミナント(属調)への転調が行われます.
- 第二主題 (Secondary Theme):ドミナント(または平行調)で提示され,第一主題と対比的なキャラクターを持つことが多いです.
- 終結部 (Closing Section):提示部を締めくくる部分で,調的に安定し,時には繰り返しが含まれることもあります.
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展開部 (Development):
- 動機の発展 (Motivic Development):提示部のテーマや動機を用いて,さまざまな調や和声で展開されます.
- 調の冒険 (Harmonic Exploration):展開部では,調の変化が頻繁に行われ,緊張感とドラマを生み出します.
- クライマックス (Climax):しばしば展開部の中盤において最も劇的な部分が現れます.
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再現部 (Recapitulation):
- 第一主題の再現 (Restatement of the Primary Theme):再びトニックで提示されます.
- 橋渡しの省略 (Omission of Bridge):展開部の影響で省略されることがあります.
- 第二主題のトニックでの再現 (Restatement of the Secondary Theme in the Tonic):ドミナントでなくトニックで再現されます.
- 終結部 (Closing Section):提示部の終結部に似た形で締めくくられます.
J.C.バッハのソナタ形式の具体例
ソナタ ニ長調 Op. 5, No. 2:
- 提示部:第一主題がトニックで始まり,橋渡しを経て第二主題がドミナントで提示されます.
- 展開部:提示部の動機を用いて,さまざまな調で展開されます.
- 再現部:第一主題が再びトニックで提示され,第二主題もトニックで再現されます.
ソナタ ハ長調 Op. 17, No. 2:
- 提示部:明確な第一主題と第二主題の対比が見られ,提示部の最後には終結部が含まれます.
- 展開部:主題の発展と調の変化が強調され,緊張感が高まります.
- 再現部:提示部の要素がトニックで再現され,安定した終結がもたらされます.
まとめ
J.C.バッハのソナタ形式は,明確な提示部,展開部,再現部の三部構成を持ち,ギャラント様式の美しい旋律と簡潔な和声が特徴です.これにより,後のハイドンやモーツァルトに大きな影響を与え,クラシック音楽のソナタ形式の基礎を築きました.この形式は,音楽の構造を明確にし,テーマの対比と発展を通じて豊かな表現を可能にしました.
ChatGPT4o にききました: 「ハイドンが確立したソナタ形式とクリスチャン・バッハのソナタ形式とは,どこがちがうのでしょうか?」
ハイドンが確立したソナタ形式とヨハン・クリスチャン・バッハ(J.C.バッハ)のソナタ形式にはいくつかの重要な違いがあります.以下に,それぞれの形式の特徴と違いを説明します.
J.C.バッハのソナタ形式の特徴
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ギャラント様式:
- J.C.バッハの音楽は,ギャラント様式に基づいており,簡潔で流麗な旋律が特徴です.装飾音が多く,和声もシンプルで明瞭です.
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二部形式:
- 多くの初期作品では,二部形式が用いられます.提示部と再現部があり,それぞれが独立した部分を持っています.通常,調的な対比はあるものの,展開部は比較的短いです.
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モノテーマティックな傾向:
- J.C.バッハのソナタ形式はしばしばモノテーマティックで,全体を通じて一貫したテーマを使用する傾向があります.
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成熟したソナタ形式:
- ハイドンはソナタ形式を完成させたことで知られ,提示部,展開部,再現部の三部構成を明確に確立しました.これにより,形式がより複雑で多様な表現が可能になりました.
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対比的なテーマ:
- ハイドンのソナタ形式では,通常,第一主題と第二主題が対比的に配置されます.第一主題はトニック(主調)で,第二主題はドミナント(属調)で提示されます.
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展開部の重要性:
- ハイドンの展開部は非常に重要で,提示された主題や動機がさまざまな形で発展されます.これにより,和声的冒険や調的な変化が多く,音楽に緊張感とドラマを与えます.
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再現部の工夫:
- 再現部では,提示部で示された主題が再び登場しますが,トニックで統一され,しばしば新しい変化が加えられます.これにより,形式がより緻密でバランスの取れたものになります.
違いのまとめ
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形式の明確さ:
- ハイドンのソナタ形式は,提示部,展開部,再現部の三部構成が明確であり,テーマの対比が強調されています.一方,J.C.バッハのソナタ形式は,二部形式や簡素な構造が多く,モノテーマティックな傾向があります.
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展開部の複雑さ:
- ハイドンのソナタ形式では,展開部が非常に重要で,主題の発展や和声の変化が豊富です.J.C.バッハの展開部は比較的短く,単純なものが多いです.
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主題の対比:
- ハイドンのソナタ形式では,第一主題と第二主題の対比が明確であり,これが音楽に豊かな表現力を与えています.J.C.バッハのソナタ形式は,しばしばモノテーマティックであり,対比が少ないです.
これらの違いにより,ハイドンはソナタ形式をより洗練され,複雑なものに発展させ,その後のクラシック音楽の標準的な形式として確立しました.
ChatGPT4o にききました: 「さきほどの「ソナタ ニ長調 Op. 5, No. 2」と「ソナタ ハ長調 Op. 17, No. 2」ではこれらの作品が完全なソナタ形式でできているようにみえますが,どこがハイドンの「成熟したソナタ形式」とちがうのでしょうか?」
ヨハン・クリスチャン・バッハ(J.C.バッハ)のソナタ ニ長調 Op. 5, No. 2 とソナタ ハ長調 Op. 17, No. 2 は,基本的にはソナタ形式に基づいていますが,いくつかの点でハイドンの「成熟したソナタ形式」とは異なります.以下に,それぞれの特徴と違いを具体的に説明します.
J.C.バッハのソナタ形式の特徴
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シンプルな展開部:
- J.C.バッハのソナタ形式では,展開部が比較的短く,主題の発展や変形が少ないことが多いです.主題の扱いは比較的シンプルで,対位法的な技法や複雑な和声の展開が少ないです.
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モノテーマティックな傾向:
- 一つの主題が全楽章を通して用いられることが多く,テーマの対比があまり強調されないことが一般的です.モノテーマティックな構造が特徴で,複数の対照的なテーマを使うことは少ないです.
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簡潔で流麗な旋律:
- 旋律は簡潔で流麗なギャラント様式に基づいており,装飾音が多く使われています.和声もシンプルで,複雑な調の変化や転調が少ないです.
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複雑で長い展開部:
- ハイドンのソナタ形式では,展開部が重要な役割を果たし,提示部の主題や動機がさまざまな形で発展されます.和声の変化や調の冒険が豊富で,対位法的な技法も用いられます.
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対照的なテーマ:
- ハイドンのソナタ形式では,提示部において第一主題と第二主題が明確に対比されます.第一主題はトニック(主調)で,第二主題はドミナント(属調)で提示され,再現部ではこれらの主題がトニックで再現されます.
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形式の明確さ:
- ハイドンのソナタ形式は,提示部,展開部,再現部の三部構成が非常に明確であり,各部分の機能がはっきりとしています.これは音楽の構造をより緻密で均衡の取れたものにしています.
具体的な違いの例
J.C.バッハのソナタ ニ長調 Op. 5, No. 2:
- 提示部: 主題がトニックで提示され,簡潔な橋渡しを経てドミナントに転調し,第二主題が提示されます.
- 展開部: 主題の発展は限定的で,和声の変化も少ないです.
- 再現部: 提示部の要素がトニックで再現されますが,変化は少ないです.
ハイドンの交響曲第44番ホ短調「悲しみ」:
- 提示部: 第一主題と第二主題が対照的に提示され,各主題が明確に区分されています.
- 展開部: 主題がさまざまな調で展開され,和声の変化や対位法的な発展が見られます.
- 再現部: 提示部の主題が再現されますが,和声やリズムに新しい変化が加えられています.
これらの違いにより,ハイドンのソナタ形式はより複雑で洗練され,音楽の表現力が豊かになります.J.C.バッハのソナタ形式はシンプルで流麗な旋律が特徴ですが,展開の複雑さやテーマの対比という点でハイドンの成熟したソナタ形式とは異なります.
ChatGPT4o にききました: 「クリスチャン・バッハの「ソナタ形式」にも第 2 主題はあるのでしょうか?」
ヨハン・クリスチャン・バッハ(J.C.バッハ)のソナタ形式にも第2主題は存在します.ただし,その扱いや構造はハイドンや後の古典派作曲家と比較してシンプルであり,いくつかの点で異なります.
J.C.バッハのソナタ形式の特徴
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第2主題の存在:
- J.C.バッハのソナタ形式には第2主題があります.提示部において,第1主題がトニック(主調)で提示され,橋渡し(トランジション)を経て,第2主題がドミナント(属調)で提示されます.これにより,調的な対比が生じます.
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対比の程度:
- 第1主題と第2主題の対比はありますが,ハイドンやモーツァルトのように明確で強調された対比ではないことが多いです.J.C.バッハのスタイルでは,旋律の流麗さと簡潔さが重視されるため,主題間の対比が穏やかなことが一般的です.
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展開部の扱い:
- 展開部は比較的短く,主題の変形や調の冒険が少ないです.ハイドンやモーツァルトのように複雑な発展を見せることは少なく,主題のモチーフを簡単に展開するにとどまります.
具体的な例
ソナタ ニ長調 Op. 5, No. 2:
- 提示部:第1主題がトニックで提示され,橋渡しを経て第2主題がドミナントで提示されます.この構造は基本的にソナタ形式の枠組みを持っています.
- 展開部:主題のモチーフを使って簡単に展開し,再現部に入ります.
- 再現部:第1主題がトニックで再現され,第2主題もトニックで再現されます.
ソナタ ハ長調 Op. 17, No. 2:
- 提示部:第1主題がトニックで提示され,橋渡しを経て第2主題がドミナントで提示されます.第2主題は第1主題と対比的なキャラクターを持っていますが,その対比は穏やかです.
- 展開部:主題のモチーフを使って簡単に展開し,再現部に入ります.
- 再現部:第1主題がトニックで再現され,第2主題もトニックで再現されます.
- 対比の明確さ:ハイドンのソナタ形式では,第1主題と第2主題の対比が明確であり,各主題が独自のキャラクターを持ちます.J.C.バッハの主題間の対比は穏やかであり,テーマの対比が弱いことが多いです.
- 展開部の長さと複雑さ:ハイドンの展開部は長く複雑で,和声の冒険やテーマの変形が豊富です.J.C.バッハの展開部は短く,シンプルな変形にとどまります.
これらの違いにより,J.C.バッハのソナタ形式はハイドンの成熟したソナタ形式とは異なり,簡潔で流麗なギャラント様式を反映しています.
ChatGPT4o にききました: 「クリスチャン・バッハの協奏曲においてもソナタ Op. 5, ソナタ Op. 17 と同様にソナタ形式がつかわれたのでしょうか?」
はい,ヨハン・クリスチャン・バッハ(J.C.バッハ)の協奏曲においても,彼のソナタ形式が使用されています.J.C.バッハは,ギャラント様式に基づくシンプルで流麗なソナタ形式を使用しており,その影響は彼の協奏曲にも見られます.以下に,J.C.バッハの協奏曲におけるソナタ形式の特徴を説明します.
J.C.バッハの協奏曲におけるソナタ形式の特徴
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提示部 (Exposition):
- オーケストラによるリトルネッロ:協奏曲の提示部では,まずオーケストラが主題を提示します.これはリトルネッロ形式としても知られ,主題がトニック(主調)で提示されます.
- 独奏楽器の登場:続いて独奏楽器が登場し,オーケストラの主題を受けて独自の主題を展開します.独奏楽器が第1主題を再び提示し,ドミナント(属調)への転調が行われます.
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展開部 (Development):
- 主題の発展:提示部で示された主題や動機が,さまざまな調や和声で展開されます.ただし,展開部は比較的短く,シンプルな構造が多いです.
- 対位法の使用:対位法的な技法が使用されることもありますが,基本的にはシンプルで調和的な進行が特徴です.
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再現部 (Recapitulation):
- トニックでの再現:提示部の主題がトニックで再現されます.オーケストラと独奏楽器が交互に登場し,主題を再現します.
- 調的な安定:ドミナントからトニックへの転調が明確に示され,全体が調的に安定します.
具体的な例
クラヴィーア協奏曲 ニ長調 Op. 7, No. 5:
- 提示部:オーケストラがリトルネッロ形式で主題を提示し,続いて独奏楽器が登場し,第1主題を再提示します.第2主題がドミナントで提示され,調的な対比が行われます.
- 展開部:独奏楽器が主題を発展させ,さまざまな調で展開します.
- 再現部:提示部の主題がトニックで再現され,オーケストラと独奏楽器が交互に主題を再現します.
クラヴィーア協奏曲 ハ長調 Op. 13, No. 1:
- 提示部:オーケストラがリトルネッロ形式で主題を提示し,独奏楽器が続いて主題を展開します.第2主題がドミナントで提示されます.
- 展開部:主題の発展がシンプルに行われ,和声の変化が少ないです.
- 再現部:主題がトニックで再現され,全体が調的に安定します.
まとめ
J.C.バッハの協奏曲におけるソナタ形式は,彼のソナタ Op. 5やOp. 17と同様に,ギャラント様式に基づくシンプルで流麗な構造を持っています.オーケストラと独奏楽器が交互に主題を提示し,展開部では比較的シンプルな発展が行われます.ハイドンやモーツァルトの成熟したソナタ形式とは異なり,複雑な和声の展開や対比が少ないですが,そのシンプルさと明瞭さがJ.C.バッハの音楽の特徴となっています.
[このあと話題はリトルネロ形式にうつりますが,それについては別項に書きます.]