知られざるエマヌエル・バッハ (C. P. E. バッハ) を紹介するサイトです.
メヌエット(Minuet)は,17世紀フランスで生まれた優雅な舞曲で,3拍子のテンポを持つのが特徴です.その名はフランス語の「小さなステップ」を意味する「menu(ミニュ)」に由来し,軽やかなステップで踊られる宮廷舞踏として広まりました.初期のメヌエットは,単純な形式の舞曲でしたが,後に器楽曲として発展しました.
バロック時代には組曲の一部として用いられ,J.S.バッハやクープランの作品で頻繁に見られます.18世紀に入ると,クラシック音楽の中で独自の役割を果たし,特に交響曲や弦楽四重奏曲の第3楽章として定着しました.形式はABAの三部形式を基盤とし,中央部分(トリオ)でコントラストをつけるのが一般的です.
ハイドンやモーツァルトは,メヌエットを単なる舞曲から音楽的深みを持つ楽章へと進化させました.モーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」のメヌエットなどはその典型です.19世紀になると,より速いテンポと活発な性格を持つスケルツォに取って代わられ,次第に形式としては用いられなくなりました.それでも,メヌエットはクラシック音楽の歴史において,優雅さと秩序を象徴する重要な形式です.