知られざるエマヌエル・バッハ (C. P. E. バッハ) を紹介するサイトです.
ジョヴァンニ・バッティスタ・サンマルティーニ (Giovanni Battista Sammartini) は,ソナタ形式の発展に寄与した重要な作曲家ですが,彼が手がけた曲の中には,古典派の典型的なソナタ形式と完全には一致しないものもあります.これは,ソナタ形式がまだ確立途上にあったためです.以下に,サンマルティーニの作品の中で,ソナタ形式の特徴を持つとされる楽曲を挙げます.
1.交響曲 F長調 (Symphony in F Major, J-C 32) この曲は,サンマルティーニの交響曲の中でも有名な作品で,ソナタ形式の初期的な特徴が見られます.特に第1楽章では,2つの主題が提示され,簡潔ながらも展開的な要素が含まれています.
2.交響曲 D長調 (Symphony in D Major, J-C 23) この交響曲では,第1楽章において調性の移行と再現部が確認でき,ソナタ形式の原型を感じさせます.
3.チェロソナタ ト短調 (Cello Sonata in G Minor) この室内楽作品は,明確な主題の提示と調性の対比が特徴で,初期ソナタ形式の要素が取り入れられています.
4.三重奏ソナタ ニ長調 (Trio Sonata in D Major, Op. 2, No. 5) 三重奏ソナタはバロック的な要素を含みますが,調性の移行と主題の構造にソナタ形式の影響が見られます.
5.交響曲 イ長調 (Symphony in A Major, J-C 38) この交響曲も第1楽章において,調性の移行と主題の反復があり,ソナタ形式の枠組みを感じさせます.
サンマルティーニの曲には,ソナタ形式の「提示部」「展開部」「再現部」に相当する構造がしばしば見られますが,必ずしも後の古典派のように厳密ではありません. 主題の明確な対比よりも,旋律の流れと調性の変化が重視されています. 短い楽章や簡潔な形式が特徴で,後のハイドンやモーツァルトのソナタ形式の基盤を築いたと考えられます. サンマルティーニの楽曲は,ソナタ形式の歴史を研究する上で欠かせない存在です.彼の作品は,バロック時代から古典派への過渡期における音楽の革新を示しており,特に交響曲の発展に大きな影響を与えました.