知られざるエマヌエル・バッハ (C. P. E. バッハ) を紹介するサイトです.
エマヌエル・バッハの鍵盤協奏曲 ロ短調 Wq. 30 (H. 440) は,1772年に作曲された,彼の鍵盤協奏曲の中でも特に劇的で個性的な作品です.第1楽章はロ短調の緊張感あふれる主題で始まり,急速なテンポと力強い和声の進行が,激しい感情とエネルギーを表現します.独奏部分では,鍵盤楽器の華麗な技巧がダイナミックに展開され,オーケストラとの対話が緊密です.第2楽章は,対照的に穏やかで瞑想的な性格を持ち,多感様式の繊細な感情表現が際立っています.深く詩的な旋律と和声の調和が,楽章全体に静かな美しさを与えます.第3楽章は軽快なフィナーレで,リズミカルな躍動感と独奏楽器のヴィルトゥオーゾ的な演奏が聴きどころです.全体を通して,バロックから古典派への過渡期におけるエマヌエル・バッハの独自性がよく現れた作品です.