知られざるエマヌエル・バッハ (C. P. E. バッハ) を紹介するサイトです.
エマヌエル・バッハの鍵盤協奏曲 ヘ長調 Wq. 43-1 (H. 471) は,1770年代初頭に作曲された作品で,彼の「ハンブルク時代」における創作の洗練が反映されています.第1楽章は生き生きとしたテンポと明快な主題が特徴です.オーケストラと鍵盤楽器の掛け合いが巧みに構成され,躍動感あふれる展開が聴き手を引きつけます.第2楽章は穏やかで抒情的な緩徐楽章で,繊細な旋律と感情豊かな表現が際立ちます.多感様式の影響が顕著で,鍵盤楽器が詩的に歌うような役割を果たします.第3楽章は,速いテンポと軽快なリズムが特徴のフィナーレです.独奏楽器のヴィルトゥオーゾ的な技巧が強調されるとともに,華やかでエネルギッシュな雰囲気が楽章全体を支配します.この協奏曲は,エマヌエル・バッハの成熟した作曲技術と鍵盤楽器の表現力を最大限に活用した作品であり,彼の鍵盤協奏曲の中でも特に洗練された一曲です.
この曲に関する説明として「鍵盤協奏曲集 Wq. 43」も参照してください.