知られざるエマヌエル・バッハ (C. P. E. バッハ) を紹介するサイトです.
エマヌエル・バッハの鍵盤協奏曲 ニ長調 Wq. 43-2 (H. 472) は1770年代に作曲された作品で,彼の円熟期における独創性と多感様式の特徴をよく示しています.第1楽章は劇的で変化に富んだ構造を持っています.冒頭の活発な Allegro di molto では,独奏楽器とオーケストラの鮮やかな掛け合いが印象的です.途中で挿入される Andante 部分は,穏やかで抒情的な雰囲気を持ち,全体に一時的な安定感を与えます.その後,再び Allegro di molto に戻り,楽章を締めくくります.第2楽章は静かで内省的な緩徐楽章で,多感様式の繊細な感情表現が際立っています.独奏楽器の装飾的な旋律が,和声の豊かさとともに聴き手を魅了します.第3楽章は軽快でエレガントなフィナーレとして構成されており,優雅な旋律とリズムが楽章全体を支配します.この協奏曲は,エマヌエル・バッハの作曲技術と鍵盤楽器の表現力を最大限に活かした作品であり,その独特の構造と魅力的な旋律が特徴的です.
この曲に関する説明として「鍵盤協奏曲集 Wq. 43」も参照してください.