知られざるエマヌエル・バッハ (C. P. E. バッハ) を紹介するサイトです．
エマヌエル・バッハの鍵盤協奏曲 変ホ長調 Wq. 43-3 (H. 473) は1770年代に作曲された作品で，彼の鍵盤協奏曲の中でも優雅さと多様性が際立っています．第1楽章は明るく華やかな主題で始まり，オーケストラと独奏楽器の掛け合いが生き生きと展開されます．古典派の明快な形式感と，エマヌエル・バッハ特有の表情豊かな旋律が融合しており，楽章全体に活気を与えています．第2楽章は多感様式の美しさをよく示しており，穏やかで内省的な性格を持つ緩徐楽章です．鍵盤楽器が抒情的な旋律を奏でる中で，豊かな和声の変化が感情の深みを加えています．第3楽章は，速いテンポと軽快なリズムが特徴のフィナーレで，躍動感あふれる旋律と鍵盤楽器の技巧的なパッセージが聴きどころです．華やかな締めくくりを提供し，作品全体に統一感を与えています．この協奏曲は，エマヌエル・バッハの成熟した作曲技術と，鍵盤楽器の表現力を活かした傑作であり，古典派の発展に寄与した重要な作品といえます．
この曲に関する説明として「鍵盤協奏曲集 Wq. 43」も参照してください．