知られざるエマヌエル・バッハ (C. P. E. バッハ) を紹介するサイトです.
エマヌエル・バッハの鍵盤協奏曲 Wq. 29 は,1765年に作曲されたイ長調の作品で,彼のハンブルク時代の協奏曲の一つです.この作品は,エマヌエル・バッハが古典派の形式を発展させながら,独自の表現力を追求していることを示しています.全3楽章から成り,第1楽章は明快でエネルギッシュな主題が特徴で,鍵盤楽器が技巧的かつ華やかに活躍します.第2楽章では,抒情的な旋律と豊かな和声が組み合わさり,深い情感を湛えた音楽が展開されます.終楽章は軽快で親しみやすいキャラクターを持ち,ロンド形式に基づきながらも多彩な展開が見られます.この協奏曲は,エマヌエル・バッハの作曲技法の洗練を示すとともに,古典派音楽への橋渡しとしての重要な役割を果たしています.鍵盤楽器の技巧的な要素と表現力豊かな内容が,演奏者にも聴衆にも楽しさを提供する作品です.
チェロ協奏曲 Wq. 172 を編曲して鍵盤協奏曲 Wq. 29 がつくられたということです.チェロの特性に合わせて音域やフレーズが調整されています.このように,エマヌエル・バッハは鍵盤楽器用の協奏曲を他の楽器用に編曲する際,楽器の特性を活かして独自のアレンジを施しています.
演奏例: